灯火


消してしまった小さな灯火

不意に開いた扉の向こうに

あの子は、無限の拡がりを見たのだろうか

それに感じたのは、歓喜か、恐怖か

あの子の姿が壁の向こうに消えた時

声にならない叫びを上げたのは

あの子だろうか

私だろうか

 

いつもと変わらぬ眠った様な幼い顔

腕の中で冷えていく躯

口元から溢れる紅い血に

染まっていくワインレッドの袖口

 

私が奪ってしまった小さな命

その魂は、今、どこにいるのだろうか

幸せなのだろうか

 

日常のはずだった

ある早朝の出来事は

今だ、忘れえぬ哀しみと痛み

乾かない涙は、せめてもの贖罪


 

- ブラウザを閉じてください -